搭乗者傷害保険のあらまし
搭乗者傷害保険とは、被保険自動車に搭乗している人を対象とし、事故によって生じた損害を補償する傷害保険です。
被保険自動車の事故によって、搭乗中の人が損害を負った場合それを補償する、という点では人身傷害補償保険と似ていますが、搭乗者傷害保険は被保険者を具体的に特定しないことや、傷害保険であるため、他の保険との調整は行われず、重複して保険金が支払われることなどの特徴があります。
保険自由化に伴い人身傷害補償保険が販売されるようになって以降、従来型の搭乗者傷害保険の販売を続ける会社がある一方、人身傷害補償保険にその保険内容を抱合させたものや、特約とするもの、新たに傷害一時金として販売するなど、保険会社によってさまざまな販売形態が存在することが特徴となっています。
被保険者の範囲
搭乗者傷害保険の被保険者は以下の通りです。
- 被保険自動車の正規の乗車装置または、その装置のある室内(隔壁等により通行できないよう仕切られている場所を除く)に搭乗中の者
- 極めて異常かつ危険であることが明らかな方法で搭乗(トラックの荷台に乗る、乗用車の窓枠に腰掛けて乗る「箱乗り」等)している者は被保険者から除外されます。
- 自動車修理業・駐車場業・給油業・洗車業・自動車販売業・陸送業・運転代行業など自動車を取り扱うことを業とする者が業務として自動車を預かり使用・管理している場合、その者は被保険者にはなりません。
- 搭乗者傷害保険は被保険者ごとに適用されます。
保険金が支払われる場合
搭乗者傷害保険は、被保険者が以下に該当する急激かつ偶然に発生した外来の事故によって身体に傷害を被った場合、保険金が支払われます。
- 被保険自動車に起因する事故
- 被保険自動車運転中に飛来もしくは落下中の他物との衝突、火災。爆発または被保険自動車の落下
保険金が支払われない場合
搭乗者傷害保険が支払われない場合の条件は、人身傷害補償保険が支払われない場合とほぼおなじです。
支払い保険金の種類と概要
搭乗者傷害保険で支払われる支払い保険金は
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 医療保険金
の三種類があり、それぞれ支払額と支払い条件が違ってきます。
1. 死亡保険金
死亡保険金は、被保険者が事故による損害を被り、その直接の結果として事故発生日からその日を含めて180日位内に死亡した場合、支払われます。死亡保険金は、死亡した被保険者1名につき保険金額全額が、被保険者の法定相続人支払われます。法定相続人が2名以上いる場合は、法定相続分の割合によってそれぞれ受け取る額が決定します。
2. 後遺障害保険金
後遺障害保険金は、被保険者が事故による傷害を被り、その直接の結果として事故発生日からその日を含めて180日以内に後遺障害が発生した場合に支払われます。支払額は以下の通り算定されます。
後遺障害保険金=保険金額×傷害の程度に応じた割合(100%~4%)
事故発生日からその日を含め180日を超えてなお治療を要する場合には、181日目の医師の診断に基づいて、後遺障害の程度を決定します。
3. 医療保険金
負傷による損害(治療費・休業損害等)に対して支払われる医療保険金は、「部位・症状別払」(一時金払)と「日数払」があります。
部位・症状別払 | 入院・通院日数(治療日数)および傷害部位・症状に応じ、定額で保険料が支払われる方式です。 |
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日数払 | 平常の生活または業務に従事できる程度に回復=医師の継続的治療が必要ないと判断される程度に治るまでにかかった治療日数に対し、1日単位で入院保険金日額または通院保険日額が支払われる方式です。なお、医療保険を受ける期間中に別の部位の傷害に対し治療を受けても、重複して支払いを受けることはできません。 |
医療保険金の支払いについては各保険会社により取扱いが異なります。
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の違い
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険は、自動車事故により被保険者が死傷した場合に補償される保険金という意味では同じですが、対象となる事故や補償内容に違いがあります。
人身傷害補償保険
対象事故 | 被保険自動車搭乗中の自動車事故によって死傷した場合だけでなく、歩行中や他の自動車に搭乗中起こった事故によって死傷した場合でも保険会社によって補償されるタイプがあります。 |
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補償内容 | 保険金額を限度に、ケガの場合の治療・休業損害、死亡の場合の逸失利益等の実際の損害額が過失割合に関わらず保険金として支払われる(実損払い)保険です。 |
搭乗者傷害保険
対象事故 | 保険金の支払いは被保険自動車搭乗中の事故にのみ限定されます。 |
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補償内容 | 死亡・後遺障害・入院・通院に対し、あらかじめ設定された保険金額に応じて保険金が支払われます(定額払い) |
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険双方を契約している場合、それぞれの契約ごとに有責・無責を判定して保険金が支払われます。
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