ながらスマホ・酒気帯び運転は罰則の対象?
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政府の道路交通法改正により、自転車の利用者に関する規制が大幅に強化されました。この改正は、交通安全対策の一環として、自転車の運転者に対する責任を明確化し、事故防止を目的としています。
こちらのページでは新たに罰則の対象となった行為や具体的な罰則などについて分かりやすく紹介します。
- 目次
2024年11月1日道路交通法改正の背景
近年、自転車利用者の増加に伴い、自転車関連の交通事故も増加傾向にあります。特にながらスマホや飲酒運転といった危険行為が原因となる事故が問題視されていました。こうした状況に対応するため、警察庁や地方自治体は安全確保のための取り締まりを強化し、法律の改正が行われる運びとなりました。
自転車関連交通事故の状況
以下表からスマートフォンなどの携帯電話等を使用して発生した死亡・重傷事故は近年増えていることが分かります。令和6年上半期の事故件数は18件となっており、前年同期比で約2.3倍に増加しています。
年齢を確認すると19歳以下が半数以上を占めており、続いて20歳代、30歳代の事故件数が多くなっています。データから分かるように特に若年層は自転車乗用中の携帯電話等の使用方法について、今一度ルールを確認する必要があるといえます。
主な改正内容
運転中のながらスマホの罰則強化
運転中のながらスマホはこれまでも罰則の対象でしたが、道路交通法の改正により罰則が強化されています。
<禁止事項>
- 自転車運転中にスマホで通話すること(ハンズフリー装置を併用する場合等を除く)。
- 自転車運転中にスマホに表示された画面を注視すること。
罰則内容
改正前 | 5万円以下の罰金 |
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改正後 |
自転車運転中に「ながらスマホ」をした場合 自転車運転中の「ながらスマホ」により交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合 |
酒気帯び運転に対する新たな罰則
飲酒をした状態で自転車を運転することは禁止されています。これまでは酩酊状態で運転する「酒酔い運転」*1のみが処罰の対象でしたが、道路交通法の改正により「酒気帯び運転」*2についても罰則の対象となります。
また、自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供することや、自転車を提供したりすること(酒気帯び運転のほう助)も禁止です。
- アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転する行為
- 血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転すること
<禁止事項>
- 酒気を帯びて自転車を運転すること。
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供すること。
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供すること。
- 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗すること。
罰則内容
2024年 11月から |
酒気帯び運転 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合 |
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自転車運転者講習制度
自転車の運転に関し、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為(危険行為)を繰り返す自転車運転者に対して、「自転車運転者講習」の受講が義務づけられています。
道路交通法の改正により、ながらスマホや酒気帯び運転は「自転車運転者講習制度」の対象となる「危険行為」に追加されました。
自転車の危険行為まとめ(2024年11月時点)
- 1.信号無視
- 2.通行禁止違反
- 3.歩行者用道路における車両の義務違反
(徐行違反) - 4.通行区分違反
- 5.路側帯通行時の歩行者通行妨害
- 6.遮断踏切立入り
- 7.交差点安全進行義務違反等
- 8.交差点優先車妨害等
- 9.環状交差点安全進行義務違反等
- 10. 指定場所一時不停止等
- 11. 歩道通行時の通行方法違反
- 12. 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 13. 酒酔い運転、酒気帯び運転
- 14. 安全運転義務違反
- 15. ながらスマホ
- 16. 妨害行為
ながらスマホ・酒気帯び運転は自転車保険で補償される?
自転車保険は運転中の事故により自分がケガをしたり、他人にケガを負わせてしまった場合等を補償します。では、ながらスマホ・酒気帯び運転によって自転車事故を起こした場合、自転車保険で補償されるのでしょうか。
ながらスマホや酒気帯び運転は自転車を利用する際に法律で禁止されている危険な行為です。これらの行為による事故が発生した場合、自転車保険で補償されるかどうかは保険契約の内容や事故の状況によって異なります。自転車保険では「故意や重大な過失」による事故は補償対象外とされる場合がありますが、ながらスマホや酒気帯び運転がこの「故意や重大な過失」に該当するケースがあると考えられます。
- 商品ごとに規定が異なります。詳細は「重要事項説明書」や「約款」をご確認ください。
一方で故意ではなく、安全運転を心がけていたとしても自転車事故は起こり得ます。自転車乗用中に歩行者や自転車にぶつかり相手にケガをさせてしまった場合、高額な賠償金が発生する可能性があります。実際に起きた自転車事故に対する判例を確認しましょう。
自転車事故による高額賠償事例
- 自転車と歩行者の事故の判例
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賠償額9,521万円
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車走行中、歩道と車道の区別の無い道路において、歩行中の女性(62歳)と正面衝突。
女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い意識が戻らない状態となった。 (神戸地裁、平成25年7月4日判決)
- 自転車同士の事故の判例
-
賠償額9,266万円
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前から車道を斜め横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突、男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失)が残った。 (東京地裁:平成20年6月5日判決)
万が一の高額な賠償事故に備えて、自転車を利用される方は自転車保険に加入されることをおすすめします。ほとんどの商品・プランでは他人への賠償だけではなく、自転車事故によるご自身のケガも補償されますので自転車に乗る際のお守りとしてぜひ自転車保険をご検討ください。
安全な運転のためのポイント
今回の法改正に関連して、自転車を運転するうえで気を付けるべきことは以下の通りです。
- スマートフォンなどの携帯電話はポケットやカバンに収納し、運転中は使用しない
- 飲酒後は自転車に乗らない
当たり前のことのように思いますが、軽い気持ちで違反をすると、罰則の対象となるだけではなく自分がケガをしたり第三者にケガをさせてしまう可能性が大いにあります。自転車はバイクや自動車と違って免許が不要な乗り物ですので、より安全に気を付ける必要があるといえます。ちょっとだけなら大丈夫、そんな考えはあらためて安心・安全に自転車に乗ることをより意識していきましょう。
まとめ
2024年11月1日に施行された自転車に関する道路交通法の改正は、これまで曖昧だった自転車利用者の規範を明確化し、罰則を強化するものです。ながらスマホや酒気帯び運転が厳しく取り締まられることで、交通事故の抑制や安全意識の向上が期待されます。
交通事故の抑制や安全意識の向上には罰則強化だけでなく、交通安全に対する理解と協力が不可欠です。利用者一人ひとりが交通安全の自覚を持って運転することが大切です。
そしてながらスマホ・酒気帯び運転での自転車事故は自転車保険では補償されない場合があるので注意が必要です。ながらスマホや酒気帯び運転をせず安全に気を付けて自転車に乗っていたとしても、誤ってケガをしてしまったり歩行者とぶつかり他人にケガをさせてしまうリスクが考えられます。そんな万が一に備えて自転車保険への加入をぜひご検討ください。すでに自転車保険に加入されている方は、補償内容と保険料のバランスを見直しされてみてはいかがでしょうか。【保険料見積りシミュレーション】にて各商品・各プランの保険料をご確認いただけます。
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